将棋のプロ棋士の間にはフリークラスという制度があるのはご存知でしょうか。
なかなか聞きなれないフリークラスですがわかりやすく解説していきます。
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将棋のフリークラスとは
将棋のプロ棋士は名人を除き順位戦という棋戦に参加します。
名人になるためにA級からC級2組に分かれて戦う歴史の長い棋戦なのですが、順位戦の棋戦に参加できない、もしくは参加しないプロ棋士もいるのです。
その順位戦に参加する資格がないプロ棋士が在籍しているカテゴリーをフリークラスと呼んでいます。
フリークラスの棋士は順位戦を指すことはできませんが、そのほかの棋戦には参加することができます。
フリークラスに在籍する条件
フリークラスに在籍する条件は4つあります。
フリークラスを自ら宣言する
1つ目はフリークラスを自ら宣言する場合です。
名人とA級以外の棋士であればだれでも宣言することができます。
フリークラスを自ら宣言した場合、どのような好成績を出しても順位戦に戻ることができません。
- 小林健二九段
- 神崎健二七段
以上2名が宣言しています。
C級2組で降級点を3つとる
順位戦のC級2組に在籍している場合、成績が悪いと降級点という点数が与えられます。
この点数が3つ貯まってしまうと強制的にフリークラスに在籍することになります。
順位戦は1年かけて対局していく棋戦のため、3年成績が悪い年があるとフリークラスに落ちてしまうことになります。
プロ棋士編入試験に合格する
プロ棋士(四段以上)になるには年齢制限がありますが、25歳以上でもプロ棋士編入試験に合格すればプロ棋士になれます。
その合格者が在籍するのがフリークラスです。
最近で言うと、今泉健司四段が該当しますね。
三段リーグで次点を2回取ると編入できる権利がある
奨励会の三段リーグで四段昇格に一歩届かなかった場合次点となります。
この時点を2回獲得すればフリークラスに編入できる権利をもらうことができます。
あくまで権利ですのでフリークラスに入らなくてもよいのですが・・・
以上、これら4つがフリークラスの在籍条件になります。
フリークラス棋士の引退規定
フリークラスの棋士には引退の規定が大きく分けて2つあります。
それは、
- 定年を迎えたとき
- C級2組に昇格できなかったとき
です。
まずは定年からみていきます。
一般的にフリークラスの棋士は60歳で定年となりプロ棋士を引退することになります。
しかし、フリークラスを自ら宣言することで、定年の年齢が65歳になり5年延ばすことが可能なのです。
おおよそ、世間一般のサラリーマンと一緒ですよね。
ちなみに、テレビ等メディアによく出ている加藤一二三九段は77歳で引退となりました。
これは加藤先生がずっと在籍していたことが関係しています。
将棋のプロ棋士は順位戦に在籍している限り引退させられることはないんです。
順位戦に属していれば定年制度は適応されない
続いてC級2組に昇格できなかったときをみていきます。
フリークラスの棋士には10年以内にC級2組に昇格できない場合引退することになっています(フリークラス宣言者は別ですが)。
その昇格の条件は、
- 年間対局の成績で「参加棋戦数+8」勝以上の成績をあげ、勝率も6割以上
- 良いところ取りで30局以上の勝率が6割5分以上
- 年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上
- 全棋士が参加する棋戦に優勝もしくはタイトル挑戦
となっています。
正直どれも大変な条件ですよね。
特に棋戦優勝、タイトル挑戦は本当に実力がないとできません。そんな人がフリークラスに・・・なんて思ってしまいます。
ちなみに、最近のC級2組への昇格者をみてみると、
- 佐々木大地四段
- 今泉健司四段
- 島本亮五段
などがいます。
いずれにせよ、フリークラス在籍者は引退の影をちらつかせながら対局することになりますので精神的にも大変ですよね。
まとめ
将棋のフリークラスについて説明してきました。
ひとくくりにフリークラスと言っても在籍している理由はさまざまです。
順位戦に参加していないため、なかなか注目されることはありませんが、引退のプレッシャーと戦っている棋士の先生もたくさんいらっしゃいます。
将棋界も勝負の世界なので致し方ありませんが、フリークラスの棋士たちを応援してみるとより将棋界の深さがわかるかもしれませんね。
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