将棋界でのコンピュータ将棋ソフトの位置づけはどうなってしまうのか。
今やプロ棋士よりもコンピュータ将棋ソフトが強いのは周知の事実となっており、プロ棋士でも将棋ソフトで勉強する棋士が多くいます。
以前は研究会など棋士同士で将棋の勉強することが多くみられていました。
そんな昔のあたりまえの光景も減りつつあり、特に若い棋士のほとんどがコンピュータ将棋ソフトで勉強しているのではないでしょうか。
これは将棋ソフトの実力・精度か格段に向上したが故だと思います。
棋士の勉強方法まで変えてしまうほど将棋ソフトのレベルが向上したのはなぜか・・・
AIの発達はもちろんなのですが、「将棋電王トーナメント」などの優秀な将棋ソフトを決める大会があったことが大きな要因ではないでしょうか。
将棋ソフト開発者たちがしのぎを削り、少しでも完成度が高いソフト作りたいという開発者の努力の結晶が今の将棋ソフトなのです。
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将棋電王トーナメントが終了
最強のコンピュータ将棋ソフトを決める大会でもあった、「将棋電王トーナメント」が第5回の開催をもって終了することが発表されました。
そもそも将棋電王トーナメントとは?
ドワンゴが主催の最強コンピュータ将棋ソフトを決める大会で、トーナメントで優勝したソフトには「電王」の称号が与えられます。
この大会で優勝することにより、1番優秀な将棋ソフトと認識されるわけです。
2017年までは優勝ソフトとプロ棋士の対局も行われていました。
将棋電王トーナメントの代わりの大会は?
代わりの大会はありませんが、以前から行われていた「世界コンピュータ将棋選手権」へ協賛という形に変わっています。
選手権の上位3ソフトに「ドワンゴ賞」という形で賞金が贈られるそうです。
賞金が出れば開発者もモチベーションが上がりそうですよね。
はたしていくらもらえるのでしょうか。
将棋電王トーナメント終了からわかること
大会が1つ減ったという事実
世界コンピュータ将棋選手権が賞金が出されるようになったとはいえ、コンピュータ同士の大会が1つ減ってしまったというのはとても大きなことです。
ただでさえ大会が少ないのに、これでは開発者のモチベーションも下がってしまうでしょう。
あれ⁉
先ほどと言っていることが矛盾していますが、開発者のモチベーションは間違いなく下がるはずです。
電王トーナメントがなくなってしまったのも、将棋ソフトが強くなりすぎ、プロ棋士が対抗できなくなってしまったためです。
皮肉ですよね。
将棋ソフトを強くしすぎてしまったが故、大会が1つ減ってしまったのですから。
今後の将棋ソフトの未来は
コンピュータが人間(プロ棋士)を超えた先に待っていたの何だと思いますか?
将棋ソフトが将棋界を席巻する世界でしょうか?
実際には違いました。
これまで人々は、
「いつコンピュータが人間を超えるんだ?」
「棋士と将棋ソフトどっちが強いんだ?」
という強い関心を持っていました。
しかし、プロ棋士でさえ将棋ソフトに勝てない世界になってしまった為、棋士対ソフトの対戦に興味がなくなってしまったんです。
まだ、将棋ソフトの精度が向上する余地は十分にあるのですが、これ以上のソフトの強さに関心が薄くなり、コンピュータ将棋ソフトの市場が衰退していく傾向にあるんです。
確かに、棋士と将棋ソフトが対戦してすべてソフトが勝ったら、この対局に興味なんてなくなりますもんね。
強くなりすぎることにも弊害が出るんですね。
コンピュータ将棋ソフトのレベルが上がることも重要
これまで将棋ソフトが強くなったことでのデメリットをお話ししましたが、もちろん良い面もあります。
棋士の対局でよく見る形成判断。
これは将棋ソフトの精度が高くないと正確な判断はできません。
私も対局を観るときに、将棋ソフトの形成判断はとても参考にさせてもらっています。
形成判断で数値が出る以上、正確な値が出るに越したことはありません。
あいまいな数字だと困りますもんね。
これからのコンピュータ将棋ソフトに期待すること
正直これからの将棋ソフト開発者を取り巻く環境は大変だと思います。
モチベーションも保ちにくいかもしれません。
ですが、より正確な将棋ソフトが開発されることを待ち望んでいる人がいることも事実です。
将棋ソフトによって、将棋の数値化もそうですが、人間では考えられなかった新たな差し方も導き出してくれています。
私も、将棋を観ているときより正確な形成判断の数値が分かれば、対局状況がわかりやすいですし勉強にもなります。
開発者の方には今後も素晴らしい将棋ソフトを作ってもらいたい。
ただそれだけです。
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